京都からコカ・コーラ
環境ハウスを訪問

京都大学及び京都超SDGsコンソーシアムメンバーが、2022年2月にコカ・コーラ環境ハウス等を訪問した際の概要と、学生さんたちの感想などをご紹介いたします。

エコ〜るど京大/
京都大学農学部2回生
角本柚香さん

エコ〜るど京大に所属しております、京都大学農学部資源生物科学科2回生(訪問当時1回生)の角本柚香です。私たちの活動の紹介とコカ・コーラ環境ハウスの訪問について報告いたします。
エコ〜るど京大とは、京都大学の学生と教職員からなる団体で、「持続可能なキャンパス」の実現に向けてキャンパス内外で活動を行っています。特に、プラスチックや食品ロス、SDGsに関する活動や、京都市北部の中山間地域である京北での活動を行っています。夏には、里山である京北を舞台に30分間のオンライン番組「今日も明日もSDGs!第4弾」を作成し、SDGsや京北について18日間発信しました。他にも、中高生とのSDGs学習も行っています。
エコ〜るど京大について、詳しくはこちら↓をご覧ください。
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また、京北では、京都里山SDGsラボ「ことす」での活動も行っています。「ことす」はテレワーク拠点、地域の方とのコミュニケーションの場として、廃校となった旧京北第一小学校を活用した施設です。そのため、同じく廃校となった小学校の校舎を利用した施設であるコカ・コーラ環境ハウスを訪れることをとても楽しみにしていました。
ことすについては、こちら↓をご覧ください。
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コカ・コーラ環境ハウス
および栗山町にて

まず、NPO法人雨煙別学校の副理事長である山本様から環境ハウスの成り立ちやプログラムについてご説明いただきました。12年前に廃校を再生して宿泊施設としてオープンしたコカ・コーラ環境ハウスは、環境教育を行う施設であるという点で「ことす」と似た側面もあれば、全く異なる部分もありました。大きく異なる部分として、ここでは様々なプログラムを体験できる点があります。特に、普段の生活では触れる機会の少ない里山の暮らしを学んだり生きものの生態を調べたりする体験プログラムは魅力的だと感じました。さらに、「ことす」とは異なり宿泊が可能な施設である点で、自然と親しむ拠点となっていることを実感しました。
また、札幌や新千歳から1時間ほどで行くことができるというアクセスの良さを生かし、小学生から大学生、大人の方まで様々な年代の多くの方に来ていただいていることも感じられました。

続いて、理事の高橋様から栗山町の環境や里山20年計画についてご紹介いただきました。北海道には里山は少ない中で、自然環境を復元し里山を再生しているハサンベツ地区は、訪れた人が自然保護や環境保全の大切さを体感できる場所になっていると思います。地域の方や栗山町を訪れる方と一緒になって栗山町の環境を作り上げていく「共創」の考え方に感銘を受けました。町民の協力のもとで自然保護を行うという地域一体となった活動の様子が伺えました。

お話いただいた後、実際にハサンベツに向かいました。例年よりも積雪量の多い2月で、雪に覆われていたため実際の里山の全容を見ることはできませんでしたが、500円募金で集まったお金で建てた建物や「田」の形の田んぼを見ることができました。地元の人の納得や協力があってこその活動の素晴らしさを実感できました

オオムラサキ館では、国蝶であるオオムラサキの保護や栗山町で見られる自然について見学しました。栗山町の自然が豊かであることとともに、多くの人に支えられている里山だということがわかりました。

その他にも、おいしい北海道の食事のご用意や、小林酒造の見学、寒い中外を案内していただいたことに感謝申し上げます。お話を伺い実際に里山に向かうことで、人と自然が共生する里山を作り、コカ・コーラ環境ハウスがその拠点となっていることを体感できました。忙しい中のご講演や様々な場所を案内していただきありがとうございました。

京都大学大学院地球環境学舎
修士2回生(訪問当時、修士1回生)
Zulmila Acha
(ズミラ・アチャ)さん
※モザンビークからの留学生

Final program was to visit the Coca-Cola Environment House. The facility is located in Kuriyama town, opened as the Coca-Cola Environment House as a part of Uenbetsu Elementary School offering the nature-experience programs. Are aimed for children in Kuriyama but also for all the people of Japan and foreigner to learn respect and preservation of the nature.
Kuriyama area is a region with high agricultural potential, but in recent years activities have decreased due to depopulation. However, with this situation, there was an urgent need to create this foundation with the aim of revitalizing the region and attracting people's attention to visit the place, learn about the history, the environmental potential of the region.
The volunteers from the townspeople, the government, and NPOs cooperate to create a town where people and nature coexist, and to provide hometown education centered on nature experience education.
There are many activities provided to visitors, tourists, and researchers. Some of them are mentioned below:
Winter activities, woods and observation of Animals at night, finding life in Satoyama, learning how to swim and observe the animals in the rivers, Indoor Craft activities, hiking and nature observation, collecting wild vegetables and mushroom, rice planting and mushroom cultivation workshops, tours and so on.
We had the lecture about the foundation itself and activities carried out. We have visited the Environment Education facility. There are composed of the music room, accommodation where the visitors can sleep, meeting and training room, Kitchen. Beyond the environment education on the site can be enjoyed the local food made by local chefs.

After the lecture, we visited the Satoyama Kuriyama, and Yubari River
The information got from foundation staff is that, around the river can be found different insects that the community has made effort to preserve, but in another hand, this river provides clean drinking water to the community and for the agriculture fields. Is used also for research and experience about the water environment.

Visit to the Sake factory and museum.
Visit to the aquarium where is produced the small fish that will be launched in the river to increase the quantity of the fish. Something interesting is that the same fish thrown into the river arrives in America. For the community, does not matter who this fish will benefit but the important is to do something that contributes to the sustainability of resources in this case increasing the production of the fish.
We saw the different insects including the butterfly called Great purple emperor that its habitat is being protected by investigating the ecology, making saplings of Ezoenoki that larvae eat, and planting trees.

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最後のプログラムとして、コカ・コーラ環境ハウスを訪れました。
この施設は、栗山町にあり、自然体験プログラムを提供する場として旧雨煙別小学校からコカ・コーラ環境ハウスとしてオープンしました。栗山町の子供たちだけでなく、全国や海外の人も自然保護について学ぶことができます。
栗山町は農業に適した地域ですが、近年は人口減少によりその活動は減ってきています。しかしこの状況でも、地域を活性化させ、訪れた人々の興味を引き、地域の持つ歴史や環境について学ぶ目的でこの団体を早急に立ち上げる必要がありました。
都市部からのボランティアや自治体、NPO法人が協力して人と自然が共生する町を作り、自然体験教育の中心となる里山を提供しています。
観光客、研究者などの訪れた人に多くの体験プログラムが用意されていて、以下のようなものがあります。
冬の活動、夜の動物観察、里山の生きものの生態を知る、川の生きものの観察、屋内体験プログラム、ハイキングや自然観察、野菜やシイタケの収穫、米づくりやシイタケ栽培、ワークショップやツアーなどです。
私たちは設立や実施されている活動についての講演を受けました。コカ・コーラ環境ハウスを訪れ、音楽室、訪問者が宿泊できる部屋、ミーティングルーム、キッチンなどがあります。環境教育だけではなく、地元のシェフが作る地元食材を使った料理を楽しみました。
講義のあとは、栗山の里山や夕張川を尋ねました。
施設を設立したメンバーからの情報では、川の周りには、地域で守ろうとしている様々な昆虫がみられます。一方で、この川は地域で飲んだり農業に使用したりするきれいな水を供給しています。水環境についての研究や体験をすることもできます。

日本酒の工場と博物館を見学しました。
魚の量を増やすために川に放流する稚魚を育てている水族館を訪れました。面白かったことは、川に放流された魚と同じ魚がアメリカの川にまで到達するということです。その地域にとって、この魚が誰にとって利益があるのかは重要ではないですが、重要なことは魚の生産量が増加した時に資源の持続可能性に貢献するためのことをすることです。
私たちはオオムラサキと呼ばれる蝶を含む様々な昆虫を見ました。オオムラサキの生息地は、生態系を調査すること、幼生を食べることができるエゾエノキの標本をつくること、植樹することによって守られています。

Impression

To achieve environment sustainability depends on our willingness and performance in the protection and conservation of the nature and its resources. Environmental Education is the key for young and older people to have enough experience and knowledge about the environment.
During the visit, it was relevant to understand the several environmental education activities that are carried out at the local level. And the target group is mainly children and this is very important because they grows up having a love and connection with nature.
As we known that Africa is a country with a rich biodiversity, but because of population growth and poverty, in recent years there has been an overexploitation of these resources, thus destroying the ecosystems.
However, this experience put on the student a challenge to implement this kind of activity in my country (Mozambique) in order to protect the environment.

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感想
環境の持続可能性を達成できるかどうかは、私たちの自然やその資源を守り保存する意思にかかっています。環境教育は、すべての人が環境について十分な経験をして十分な知識を持つためのカギとなります。
この訪問の間に、地域レベルで実施されているいくつかの環境教育活動を深く理解することができました。対象は主に子供で、自然を愛し関わりを持ちながら大人になるためとても重要です。
よく知られているように、アフリカは生物の多様性が豊かな国です。しかし、人口増加や貧困のせいで、最近はそれらの資源を過剰に搾取してしまい、生態系の破壊が起きています。
しかし、この経験から環境を守るために私の国(モザンビーク)でのこのような活動の実施にチャレンジさせてくれると思います。

京都大学大学院地球環境学堂 准教授/
京都超SDGsコンソーシアム 代表
浅利美鈴

角本さんからも紹介がありましたが、私たちも、京都市内の里山にある廃校を利用した施設(京都里山SDGsラボ「ことす」)の運用を始めました。簡単にいかないことも多く、手探りの1年でしたが、大先輩「廃校」と言える、この施設を見せて頂き、ここに命を吹き込む方々と接することができ、目から鱗の連続でした。箱ではなく、やはり、中身(出会い、体験、学び)が必要なのだと改めて感じました。それも、この地域、人、環境を活かした・・・早速、京都でも、そのような視点から、活動の見直しを行っているところです。今後は、このような場・人のネットワーク化・仲間づくりなども進められないかと考えているところです。何らかのコラボレーションができれば幸いです。お世話になった皆様、ありがとうございました。

浅利美鈴先生:プロフィール 2000年、京都大学工学部地球工学科卒業。2004年、工学博士。現在は京都大学地球環境学堂准教授。研究テーマは「ごみ」や「環境・SDGs教育」。世界中の「ごみ」や暮らしぶりを観察して歩く日々を送る。社会の縮図として、京都大学のサステイナブルキャンパス化にも取り組む。学生時代に「京大ゴミ部」を立ち上げ、環境啓発・教育活動に取り組み始め、2005年からは、京都議定書達成に向けた「びっくり!エコ100選」、エネルギー問題にアクションを起こす「びっくりエコ発電所」、京都におけるSDGs実装を目指す「エコ〜るど京大」や「京都超SDGsコンソーシアム」「京都里山SDGsラボ(ことす)」などを展開。2022年11月に第15回を開催する「3R・低炭素社会検定」の事務局長も務める。